2023.01.20
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【斉藤正行のはなまる介護】「介護現場における外国人材活用の新たな動向について」

コロナ禍の状況は年末年始より引き続き第8波による影響が続いており、介護現場においては厳しい状況が続いています。一方で、世間的にはコロナ禍の収束に向けて動きが加速して始めています。介護現場では引き続き、警戒をしっかり怠ることなく感染拡大防止に努めるとともに、同時並行で、ポストコロナに向けた新しい動きに対応もしていく必要があります。

そのポストコロナに向けた動きの1つが外国人材活用です。政府は、昨年春ごろより水際対策を大幅に緩和し、インバウンド需要の喚起と、外国人材の受入れ再開を進めています。介護現場における人手不足の重要な解決策の1つとしてコロナ禍以前より、介護現場における外国人材活用が本格的に進められてきました。介護現場における外国人材活用には様々な在留資格がありますが、主たるものは大きく4つです。1つは、在留資格「介護」です。2017年円9月に新設された在留資格で、外国人が介護職として働くための就労資格であり「介護福祉士」資格の取得が大前提となっています。2つ目は、EPAです。日本と諸外国による2国間で締結された経済連携協定に基づき、「介護福祉士」の資格取得を目指して介護現場で就労してもらいます。3つ目は、「技能実習制度」です。先進国である日本から発展途上国への技能移転を目的とした制度であり「技能実習生」として介護現場で就労してもらいます。以前から存在していた制度ですが、2017年11月より新たに介護も加えられることとなりました。4つ目は、「特定技能制度」です。就労を目的として、人手不足の解消のため、2019年に設けられた制度です。

この中でもとりわけ注目され、多くの人数の入国が期待されているのが、「技能実習制度」と「特定技能制度」であり、今後のポストコロナを見据えて、いっそう制度の活用が期待されています。一方で、両制度はそれぞれ技能移転と就労と、目的が異なるものの、外国人にとっては制度の違いが十分に意識をされていない状況や、活用する企業の多くが「技能実習生」についても、あくまで労働力としての期待をもって活用している現状や、「技能実習生」の人権や契約形態などの問題指摘が行われており、改めて両制度の見直しが必要であるとの認識を政府も示しています。昨年11月には「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が関係閣僚会議の下に設置をされ、第1回の会議が開催されました。今後の論点として、技能実習制度を存続させるのか?廃止するのか?特定技能制度に一本化するのか?技能実習制度の受入れにおける管理団体の在り方を見直すのか?今年の春には中間報告をまとめ、秋ごろをめどに最終報告書が提出される予定となっています。今後の両制度の見直し議論について注目していきたいと思います。

また、上述の有識者会議は、介護に限ったことではなく根本的な制度の在り方に関する議論であります。両制度ともに、加えて、介護については日本語要件など様々な特例要件が定められています。今後、この介護特有の要件の見直しについて、例えば、訪問介護等の訪問系サービスでは「技能実習制度」「特定技能制度」ともに活用することは出来ませんが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの集合住宅での訪問介護であれば活用可能性を検討しても良いのではないかという介護現場からの声が多数あがってきており、これらに対する見直し議論も行われてくる可能性もあります。介護現場における外国人材活用は、今後益々形を変えながら活発になってくることが予測されます。

斉藤 正行氏

  • 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
  • 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
  • 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
  • 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
  • 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
  • その他、介護関連企業・団体の要職を歴任
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