2020.01.22
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2020年度診療報酬改定の方向性

Q2診療報酬改定率は、どのような影響やインパクトがあるか?

診療報酬改定は医療費総額をコントロールし、医療費を適正化または抑制する役割を担いつつ、中長期的な社会保障改革に掲げる政策の実施を促す(誘導する)役割があります。診療報酬点数は2年毎に見直し(改定)が行われ、その改定率は「医療経済実態調査」や「国民医療費」等の医療統計のほか、「消費者物価指数」や「人事院勧告(人件費)」などの経済情勢、そして最終的に「国家財政状況(予算編成)」を踏まえ、政治主導で決定されています。

2000年以降の改定率の推移(下表)を確認すると、2002~2008年は小泉政権による聖域なき構造改革の一環として、本体改定率もマイナスとなりました。その後、前々回改定以降も全体改定率がマイナスに転じて厳しい改定が続いています。

さて、2020年度改定の全体改定率は昨年12月17日に来年度予算編成の中で、厚労相と財務相の大臣折衝により、約500億円の削減規模となる ▲0.46%相当と決定しました。その内訳は、診療報酬本体が+0.55%、薬価・材料は▲1.01%となり、診療報酬本体の内訳は技術料の比率に応じた医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3が維持され、医科+0.53%、歯科+0.59%、調剤+0.16%となりました。

注目すべきは、これとは別枠で使途が特定された特例対応として「救急医療の提供実績が一定以上の病院への働き方改革の推進」に+0.08%が本体部分に充当された点です。その理由は、前述した基本方針の重点課題に掲げた働き方改革を実現するためには、特に長時間勤務が過剰な救急病院等の労働環境の改善が課題となっているからです。さらに、地域医療介護総合確保基金における支援(補助金)に関しても注目される動向となります。

改定率の数値(%)は、前年度の診療報酬や医療費をベースに新価格を推計した計数上の予測値であり、医療業界の基調や医療経営のトレンドを示すマクロ的な指標となります。ただし、予測値に過ぎないため、実際の医療機関及び薬局の経営では、患者数及び患者に対する医療行為(算定項目)を増加できれば、たとえマイナス改定であっても、改定率に左右されず収入を増加させることが可能です。したがって、改定による経営への影響度合いを計るには、改定率よりも実際に算定している具体的な個別点数の変更点(個別改定項目)に着目していく方が賢明だといえるでしょう。

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ワイズマン編集部

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