2022.08.10
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【小濱道博の介護戦略塾】業務継続に向けた取組の強化(BCP)〜自然災害編〜<第1回>

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令和3年度介護報酬改定に於いて、全ての介護サービス事業者を対象に業務継続に向けた取組の強化が義務化されました。業務継続に向けた計画等の策定(BCP)、研修の実施、訓練の実施等が必要です。研修の実施、訓練の実施において、定期的(在宅サービスは年1回以上、施設サービスは年2回以上)な研修と訓練を開催して記録しなければなりません。なお、感染症の業務継続計画研修は、感染症の研修と一体的に実施することも差し支えないとされました。一人で運営される居宅介護支援事業所などは、他のサービス事業者と連携してBCPの作成などを行なう必要があります。これも、3年の経過措置期間が設けられました。しかし、すでに残りの猶予期間は2年を切っているため、対応を急ぐべき時期になっています。

① 何から始めればいいのか?

地震のハザードマップを取ってみよう。

(1)ハザードマップとは何か

2021年8月3日、静岡県の熱海市で大規模な土石流が発生して大きな災害となりました。あの土石流は、熱海市のハザードマップ通りに発生したものでした。国土地理院のホームページでは、「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。と記載されています。ハザードマップは、地震、洪水、液状化、土砂崩れ、津波、高潮、火山噴火などの自然災害毎に作成されています。地図上に、リスクの高さにとって色分けされているのが一般的で、同時に避難所の位置も明記されています。BCPの作成では、地域のハザードマップを入手することから始めます。

(2)ハザードマップの入手方法

ハザードマップは、自治体のホームページで公開されています。住所などで地域別に細分化されています。施設・事業所の所在地だけでは無くて、地域全域のハザードマップを入手しましょう。職員の出勤や、利用者の送迎を想定したリスクの確認も必要だからです。施設が比較的安全であったとしても、通勤や送迎で障害が起こります。また、食材や資材の搬入にも支障が想定されます。訪問サービスであれば、利用者の所在地でのリスクの確認も必要となります。河川の氾濫で橋が決壊して、移動が制限される地域もあるでしょう。まずは、地域全体のリスクを確認することから始めましょう。ハザードマップは、自治体のホームページ以外でも、多くのポータルサイトで提供されています。

(3)地震ハザードマップ

全国版のハザードマップに、30年間で震度5強以上の地震に見舞われる確率の分布図があります。この図を見ると、太平洋側の大部分は最も高い確率とされています。これは、西日本は南海トラフ地震、東日本は直下型地震のリスクがあるからです。しかし、日本海側や北日本は比較的リスクが低いように見受けられます。しかし、2021年2月13日宮城県南部で震度6強、宮城県北部、宮城県中部で震度6弱、福島県会津、栃木県北部、栃木県南部で震度5強を観測したのです。また、5月1日にも宮城県で最大震度5強の地震が起こりました。大きな地震が起こる確率は低いと言っても、ゼロではありません。地震が多い国である日本に在住する限り、国内どこにいても地震への備えは必須です。

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小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表

株式会社ベストワン 取締役

一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事

C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。

介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。

全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。

介護経営の支援実績は全国に多数。

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