2020.06.10
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科学的介護の実現に向けたCHASEの本稼働

Q1科学的介護データ提供連携サービス「CHASE」の位置づけとは?

今回は、2020年5月に稼働が開始となった「CHASE」のポイントを確認していきます。

まずは、今般の保健医療・介護分野において、データヘルス改革が推進される中、様々なデータベースの整備が進められている点に注目していきましょう(下図)。データベース構築の目的は、ビッグデータを解析して民間企業・研究者が製品開発や研究を進め、イノベーションの創出に活用し、最終的に事業者や患者や利用者に還元することです。そして、これら複数のデータベースの連結により、2040年を見据えた健康寿命の延伸に係る施策のエビデンスとしての活用が見込まれています。

介護分野における2020年度の「地域医療介護総合確保基金(以下、基金に略)」の予算では、介護予防や地域づくりの制度化が進められ、介護現場の課題である人材確保や生産性向上について、引き続き重点化された点が特徴的となっています。2020年度の基金における予算配分において、ICT導入や介護ロボットの導入支援が拡充されましたが、その理由は科学的介護の実現に不可欠なICT基盤の整備として重要性が高いからです。

科学的介護に関わるデータの種類は「介護保険総合データベース(以下、介護DBに略)」、「VISIT(ビジット)」、「CHASE(チェイス)」、「地域支援事業」の4つが設計されています。このうち「介護DB」は、介護サービスの利用や要介護認定者の健康状態による必要な介護サービスの実態等を把握するために電子化した介護保険レセプトデータと要介護認定データを統合し、2018年度にデータ提供が義務化されました。「VISIT」は、通所・訪問リハビリのデータ収集事業として、各リハビリにおける計画書及びプロセス管理表のデータを蓄積するために設計され、2018年度介護報酬改定においてリハビリマネジメント加算(Ⅳ)を新設して評価が開始されました。

これに対して、「CHASE」は「介護DB」と「VISIT」ではまかなえない介護サービスに係る利用者の詳細な状態やケアの内容のほか、栄養や認知症等に係る項目などの情報を収集する役割があります。サービスの質や効果のエビデンスを蓄積するデータベースと位置付けられ、その分析と評価が可能となる点が期待されています。介護報酬上における「CHASE」の評価は今のところ未定ですが、次期改定においては「VISIT」のような形でデータ提出に係る加算の創設が予想されるため、今後の動向に注視していく必要があるでしょう。

出所:厚労省 データヘルス改革推進本部(2019.09.09)「参考資料6 今後のデータヘルス改革の進め方について(概要)」より一部引用

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ワイズマン編集部

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