2022.08.17
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【小濱道博の介護戦略塾】業務継続に向けた取組の強化(BCP)〜自然災害編〜<第2回>

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前回:【小濱道博の介護戦略塾】業務継続に向けた取組の強化(BCP)〜自然災害編〜<第1回>からの続き

②いつから始めれば間に合うのか?

災害は待ってはくれません。直ぐにも着手しましょう。

⑴BCPの作成が一番、ハードルが高い

令和3年度介護報酬改定で全サービスに義務化されたものに、感染症対策、業務継続計画(BCP)、高齢者虐待対策の3つがあります。これらは3年間の経過措置が設けられました。これには、3年間の経過措置が設定されています。令和6年3月までは努力目標とされ、4月からは義務化となる。すなわち、実施していない場合は、運営基準違反として実地指導等に於いて指導対象となります。

⑵BCPは自ら作成しなければ意味が無い

BCPは、インターネット等検索して、手頃な作成事例をダウンロードして簡単にコピペして作成出来るものではありません。地域や施設によって自然災害や感染症のリスクは異なりますし、併設している介護サービスも違います。また、介護サービスに対する基本的な考え方(基本理念、クレドなど)も各々の介護施設で異なるのが一般的です。そのために事業者毎に、オーダーメイドの作成が求められます。著者も、介護事業者からBCPの作成代行の依頼を頂くことがありますが、それは出来ないとお断りしています。作成依頼という丸受けでは無く、作成支援、すなわち施設側が作成する過程をフォローアップする立ち位置で、半年から1年を掛けて一緒に作り上げています。そして、本書がそのフォローアップの役割を担います。

⑶作成には半年から1年を費やすことも

BCPは管理者が一人で作り込むものではありません。それは、現状を計画に落とし込むものではなく、現状の問題点を把握して、その解決策を皆で検討しながらBCPを作り込んでいくものだからです。基本的に、作成委員会を設けて定期的に開催していきますが、委員となる者は管理者や責任者であるため、中々共通の時間を作ることが難しく、一回の開催時間も3時間が限界でしょう。また、検討テーマによっては委員が、各現場に戻って、一般職員の意見を引き出し、取りまとめて、委員会に戻ると言ったプロセスも出て来ます。そのため、結果として長い時間を費やすことになります。

⑷BCPに基づく、研修と訓練も義務化に

 解釈通知においては、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施において、定期的(在宅サービスは年1回以上、施設サービスは年2回以上)な研修を開催して記録しなければならないとされています。訓練(シミュレーション)は、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(在宅サービスは年1回以上、施設サービスは年2回以上)に実施します。

作った後はどうすればいいのか?

研修と訓練を実施して、定期的に見直します。

⑴BCPを文化とする

事業継続マネジメント(BCM)において、文化の定着の方法として位置づけられているのが、研修と訓練です。BCPは完成しない理由として、BCP委員会に於いて研修と訓練の度に、その検証を行って、BCPを見直すことを述べました。いくら優れた計画であっても、いざという時に機能しなければ、それは単なる絵に描いた餅です。被災時にBCPが発動されたとき、職員がその内容を理解して、行動することで被災リスクを大きく減少させる事が出来ます。感染症についても、日頃からゾーニングや衛生管理の方法を研修や訓練で身に付けることで、クラスターが発生した施設に於いても、職員が自ら身を守る事が出来ます。その事を、すべての職員が理解することが重要です。

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小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表

株式会社ベストワン 取締役

一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事

C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。

介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。

全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。

介護経営の支援実績は全国に多数。

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